手間と時間の問題がある

Revit(レビット)などの3DCAD内に、建物を実際に建ててしまう、というのがBIM(ビム)の基本パターンです。

しかも模型とは違って、建物を構成する部材を紙とかではなく、実際の材料と同じ状態で造り込んでいく。

もちろんCAD上で設定しているだけですから、実際にコンクリートを打設する訳ではありませんが……

でも「この柱はコンクリートですよ」というような「情報」を部材が持っていて、それが建物を構成している。

BIM(ビム)とは、3Dモデリングデータが情報を持っている状態を指しますが、まさにこの状態がBIM(ビム)と言えるでしょう。

もっと細かい情報、例えば鉄骨の製造元とか連絡先とか、入れ込むと便利な情報は多岐に渡ります。

でも、まずは「この部材が何で出来ているの?」から。

何となくBIM(ビム)の概要は掴めてきたでしょうか。

こうした情報が入力された3Dモデリングデータを設計段階で作成すると、後が非常に楽になります。

どんなところに問題があるのか、という検証がある程度済んでいる訳ですから、何もしていない状態に較べれば雲泥の差があります。

もちろん建物が完成した後でも、そうした細かい情報が盛り込まれているデータの価値は高いですよ。

だって、わざわざ現地を見に行かなくても、パソコンの中である程度の情報を得ることが出来る訳ですから。

ただし、こうした使い勝手の良い3Dモデリングデータを造り込むに、必要な条件がいくつかあります。

今回はそのあたりの話をしてみましょう。


■手間と時間とお金の問題

きちんと情報が入れ込まれた3Dモデリングデータ。

これが建築プロジェクトの開始とほぼ同じ時期にあれば、検討や打合せに大いに使うことが出来るはずです。

しかし、当然の話ですけど、そうした精度の高い3Dモデリングデータを造り込む為には膨大な時間と手間が必要になります。

時間と手間がかかると言うことはつまり「お金がかかる」ということ。

そうした手間をかけた後ではじめて、BIM(ビム)が持っているメリットを味わうことが出来るんです。

今までの概念的な話に較べると、ずいぶんと現実的な話になってしまいますけど、仕事ですから現実を無視する訳にはいかないんですよね。

2DCADで設計をする場合でも、基本設計から実施設計にかけて、かなりの数の図面を作図する必要があります。

平面だけの2DCADとは言っても、それはCADの中だけの話で、高さ方向の検討をする為に何枚も断面図を作図するはず。

断面図以外でも、頭の中で色々と考えたり、簡単なスケッチを手で描いたりしながら、その結果を2次元の図面に盛り込んでいくことになります。

その為にかかる時間もかなりのボリュームで、時間と手間をかけて設計図を造り込んでいくことになります。

これが今までの2DCADでの場合でしたが、3DCADの場合はさらに手間がかかってくるんです。

 

■省力化という声もあるけど

そうした2DCADでの設計と比較すると、3DCADでBIM(ビム)を実現しようとすると、今まで以上に時間がかかる。

これが問題点のひとつですね。

今まで縦と横だけの世界で作図していたものにプラスして、高さという概念を加える訳ですから、時間がかからないはずはありません。

BIM(ビム)を導入して設計業務の省力化が出来た、という話を時々耳にすることがありますけど、ちょっとどうかなと私は思ってます。

確かにトータルで考えれば省力化かも知れませんけど、設計段階だけで考えるとそんな感じではないんですよね。

3Dモデリングをすればそのデータをパースや解析などに使うことが出来るので、部分的には省力化が出来ていると思います。

でも、設計図という話に絞って考えると、省力化することが出来ている訳ではないと感じてしまいます。

2DCADでも高さ方向の検討はしていて、断面図も作図している、という話を先ほどは書きました。

しかしそれはあくまでも「納まり上厳しそうなところ」とか「メインで見せたいところ」に限定されます。

特に何も問題になりそうもない一般的なところを、わざわざ断面図にすることはあまりありません。

でもRevit(レビット)では、そうした一般的なところにも、全て情報を入れ込んでいく必要があるんです。

この違いは非常に大きい。

「ここは3Dで入力しなくていいか……」みたいなところが各所にあったら、中途半端で全然使えないデータになってしまいます。

それでは全く意味がないので、全ての部分をきちんと3Dデータとして入力していく訳です。

それが2DCADに較べて省力化されているとは、少なくとも私には思えないんですよね。

ということで、BIM(ビム)の為に3Dモデリングをするのは、2DCADに較べて時間がかかる。

イコールお金が余計にかかるという話です。

次回は、BIM(ビム)にそれだけのお金を掛ける価値があるのか、というあたりを考えてみたいと思います。

 

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