フロントローディングとは

建物を完成させる為に必要な設計図というと、分かりやすい意匠設計をイメージする方が多いかも知れません。

でも、建物のプランとかデザインを決めただけでは、実際に利用する建物として機能しないという現実があります。

各部屋毎に必要な設備は違ってくるし、部屋の用途によって必要な床の強度も違ってきますから。

そうした項目をきちんと設計するのが、構造設計であったり、電気設計であったり設備設計であったりします。

これら全てが検討されてはじめて、建物はその役割を果たす、というのは少し大げさな表現かも知れませんけど……

実際にいくら豪華な内装の部屋でも、照明がなくて真っ暗だったり空調が効いていなかったりすると、部屋としては失格です。

ましてや地震がきた時に床が抜ける部屋とか、もうデザインがどうとかいう問題じゃないですよね。

それだけを考えても、意匠だけではなく、設備や構造設計が非常に重要な要素であることが分かると思います。

まあちょっと極端な例ですけども。

それらの設計はそれぞれ専門的な知識を必要とする為、別々の設計者が設計をすることになります。

もちろん綿密な打合せをしながら設計を進める訳ですが、そこにはどうしても不整合という問題が発生します。

意匠と構造、意匠と設備、あるいは設備同士などなど、設計図の内容に食い違いが生じるパターンは色々。

そうした問題が発生するのは、人間が仕事をしている以上、ある程度は仕方がないことです。

ヒューマンエラーをゼロにすることは出来ないので、出来るだけゼロに近づくような仕組みを考える訳です。

そうすると、不整合を解消する為に3DCADを使って干渉チェックをする、という選択肢が出てくるんです。

そしてそのチェックを、出来るだけコストの影響が少ない設計段階に、ある程度の手間をかけて実行する。

これに大きな意味があるんです。


■フロントローディング

BIM(ビム)について色々と調べると必ず出てくるのが「フロントローディング」という言葉です。

ちょっと説明の順番が逆になりましたが、今まで書いてきたような内容の話をフロントローディングと呼ぶんです。

フロント:初期

ローディング:負荷

という感じで、初期段階に負荷を掛けましょうということで、つまり……

・設計段階では各所の不整合が出ることが多い

・建物を施工している段階で不具合を修正するのはお金がかかる

・設計の初期段階では変更にかかるコストが少ない

・だから出来るだけ最初の内に干渉チェックなどの検討をしておく

・最初にコストをかけたとしても、トータルではその方が効率的

というような考え方です。

建築プロジェクトの中でフロントと言えば、間違いなく設計段階のことをを指します。

そうした設計段階にコストと手間をかけて、出来る限り問題点を洗い出して解決しておく。

それによって、施工やり直しによる無駄を少なくしていく、という狙いがあるんです。

Revit(レビット)で言えば、設計段階できちんと3Dモデリングデータを作成して、干渉チェックを行うこと。

それ以外にも、きちんと納まりを検討して問題がない状態の設計図を造り込んでいく、という目的があります。

精度の高い建物を設計することが出来て、なおかつコストも低く抑えることが出来る。

これがフロントローディングの目的です。

が、もちろん問題点がない訳ではないので、次回はフロントローディングにどんな問題があるのかを考えてみましょう。

 

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